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【スペイン・フラメンコ・ニュース】フラメンコ・プーロ国際舞踊コンクールを知っていますか?
- 2023/3/15
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- 志風恭子
2010年、イタリアのトリノの舞踊教授、モニカ・モッラが地元で始めたフラメンコ、フェスティバルでコンクールを始めたのは2010年。自らが主宰する教室でイタリア国内の舞踊愛好家たちを対象にしてはじめ最初はトリノ市フラメンコ舞踊コンクールといい、翌年はナショナル、つまり国内コンクール、とうたっていたものの2013年からは2年ごとの開催になり、2015年にはヘレスのフェスティバルでチラシを配ったこともあってか、国内の文字が取れ、イタリア以外からの参加も増え、井口裕香里と萩原淳子、二人の日本人舞踊家がソリスト/フィグーラ、プロ部門で優勝、準優勝しました。2017年から堂々、インターナショナル、国際と名打つようになり、ソリスト/プロ部門で牛田裕衣、ソリスト/ノンプロ/シニア部門で勝部理子が優勝。翌年ヘレスで開催されたガラ公演に、萩原淳子とともに出演した。2019年からは、へレスのフェスティバルと協力で、ヘレス市での、フェスティバル直前の開催となり、トゥリン(スペイン語でトリノのこと)デ・ラ・フロンテーラともよばれます。世界中のフラメンコ愛好家にとって、より参加しやすくなりました。この年には英国、イスラエル、ロシアなどからの参加者が入賞、ソリスト/ノンプロ/シニア部門で押野由紀子が優勝、またソリスト/プロ/フィグーラ(スター格)部門ではスペイン在住のブラジル出身、ガブリエル・マティアスが優勝しています。2020年には石川慶子がソリスト/プロ/シニア部門で優勝。が、直後に始まったパンデミックで、開催は2023年を待たねばならなかったのです。
そして今年、日本人の活躍が目立ちました。
ソリスト/ノンプロ/シニア(30歳以上)部門1位相坂直美、2位押野由紀子
ソリスト/プロ/アダルト(26〜40歳)1位瀬戸口琴葉、同率3位土方憲人
ソリスト/プロ/シニア(41歳以上)1位宇根由佳
また、他にも
経験を積んで
「フラメンコ舞踊を学ぶ人たちに経験を積んでもらうことが目的です」と語る主催者のモニカ・モッラ。
「特にスペイン以外の国で舞踊を学ぶ人には、伴奏をしてくれるギタリストや歌い手にどう伝えればいいか、などの経験が圧倒的に足りません」本当にその通りだと思います。クラスでもあまり教えてくれないところです。
このコンクールではオフィシャルのミュージシャンたち(今年は歌がメルセデス・コルテス、インマクラーダ・リベロ、フアン・デ・ラ・マリア、ジョルディ・フローレス、ホセ・サルゲーロ、ギターはジョルディ・フローレスとホセ・ルイス・メディーナ)がいて、伴奏してくれます。出場前に構成を伝えることはできますが、何度も稽古をするわけではない、いわばタブラオ方式。一般にスペインでは劇場公演には稽古を重ねて臨みますが、タブラオではその日伴奏陣と簡単な打ち合わせだけで舞台に出ることが多いのです。うまく伝えないと伝わらないし、また音楽が、自分が思っているのと違う長さになることもあるかもしれません。それもその場で合わせていく、フラメンコ本来が持つ瞬発力、即興力も必要なコンクールだと言えるかもしれません。
世界中から
今年は、開催場所スペインはもちろん、発祥国イタリア、フランス、スイス、ロシア、イスラエル、アルゼンチン、ウルグアイ、メキシコ、チリ、中国、日本、台湾などからのおよそ100人の参加があったそう。そのうち半数以上が決勝に進みます。審査員はマヌエル・ベタンソス、アリシア・マルケスのほか、今年はゲストでアナ・モラーレスも審査とマスタークラスを行います。プロとして舞台で活躍し、また教授活動もしているアーティストに見てもらえるというのもうれしいことですね。
「このコンクールには賞金はありませんが、72の賞があって、フェスティバルやタブラオへの出場やフェスティバルや教室でのクラス受講の機会などが与えられます。それも学ぶ人に経験を積んでほしいと思うからです」
モニカとは数十年の付き合いで、毎回審査員をつとめているマヌエル・ベタンソスも言う。
「このコンクールは試合ではありません。競うよりも他の参加者との共通体験が大切だと思うのです。家族のようにね」
コンクールの参加には費用(今年の場合、ソリストは140〜160ユーロ、群舞などの場合、一人60〜70ユーロ)がかかりますが、伴奏ミュージシャンの費用、審査員によるマスタークラスやペーニャでのフィエスタ、コンクールのTシャツも含まれているそうなので高いとは思えません。
ガラ公演
また、各カテゴリーの優勝者はヘレスのフェスティバルのプログラムの一環として開催されるガラ公演にも出演できます。このガラ公演がまた素晴らしいのです。ただ踊りを並べるだけのものではなく、曲のつながりを考え、次の出演者とのちょっとした絡みがあったり、などと、作品としても鑑賞できるものなのです。
「そう言ってくれると嬉しいですね。出演者が決まってすぐ構成を考え夜通し頑張っていますから」とマヌエル。
ただ、今回、出演者の衣装に違和感があるものがあって優勝者がこれはないでしょ、と思ったことを正直に伝えると
「わかります。審査の対象は踊りそのものだけど、衣装も含めて踊りということも、今後、伝えていく必要があるかもしれないですね」とマヌエル。いやあ、衣装、かなりショックだったんですよ、踊りはいいけど、この衣装で踊って賞貰えちゃうの?って。衣装もちゃんと曲に合わせて欲しいと思うわけです。特にコンクールのような場においては。
次回は再来年。今から頑張って準備して、次回はあなたも参加してみますか?
Concurso Flamenco Puro
今回のコンクール日程
申し込み期間 11月14日〜2月15日
2月19日〜25日
2月19日 予選 午後の部終了後マスタークラス
20日 予選 午後の部終了後マスタークラス
21日 午前中 予選 午後予選終了後マスタークラス
20時30分 お話とフィエスタ/ペーニャ・ドン・アントニオ・チャコン
2月22日 午前と午後 予選 午後予選終了後マスタークラス
2月23日 決勝/サラ・コンパニア
2月24日 授賞式/コンセホ・レグラドール
2月25日18時30分 ガラ公演/サラ・コンパニア