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ノリコ・マルティン『紅蓮の果ては』
- 2025/12/2
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11月14日、マドリード在住のノリコ・マルティンさんが、フラメンコを日本語で歌ったCD『Más allá de las llamas 紅蓮の果ては』がリリースされました。
パコ・オルテガのプロデュースで、ソレア・ポル・ブレリア、タンゴ3曲、シギリージャ、ビダリータ、アルボレア、ブレリア、ペテネラ、アレグリアス、セビジャーナスと全11曲、自ら歌詞をつけた日本語で歌っています。エミリオ・カラカフェがギターで2曲を共演、他にもホルヘ・パルドなど有名どころも参加しています。安里屋ユンタにタンゴのパルマ、平家物語の冒頭をペテネラのメロディでなど工夫もたくさん。パコ・オルテガの曲で、彼がプロデュースしたニーニャ・パストーリの大ヒット曲『トゥ・メ・カメラ』の日本語バージョンも。キーボード伴奏が多く、全体的にポップ寄りな感じなのは、彼女の声質や発声、プロデューサーがフラメンコ・ポップよりの人ということもあるのかもしれません。
日本人でスペインでフラメンコの伴奏や参加ではなく、自分の名前でのアルバムをリリースしたのは、バイオリンの永山晳(1977 スペインCBS社)、ギターの三谷真言、(1995『レホネオ』ヌーバ社)くらいしかいないのではないでしょうか。また、フラメンコを日本語で歌う試みも、堀越千秋や石塚隆充も挑戦しているし、セビジャーナスで言えば、超ベテラン、一流セビジャーナスグループ、カントーレス・イスパリスが自らのヒット曲の日本語バージョンをうたっているし、他にもスペイン人、日本人を含めいくつかの録音があります。が、スペインで、発売された日本語だけで歌ったカンテのCDというのはもちろん初めて。
名古屋生まれで、テーマパークで仕事をしている時にフラメンコに魅了され、元々舞踊を習っていたのが、腰を痛めカンテを習い始め、2013年の日本フラメンコ協会新人公演で準奨励賞を受賞。スペインでは、ウベダのフェスティバルやラジオ番組などに出演しています。
日本語とスペイン語は母音が多く、似ているところもあるのですが、フラメンコの特徴的なリズムに日本語を意味がわかるように載せるのは至難の業です。ましてやフラメンコに聞こえるように、韻を踏むよう音を揃えて、となると、ほぼ不可能なように思われているのではないでしょうか。あえてそこにトライした彼女の勇気と努力こそがこのアルバムの価値でしょう。ジャズやシャンソンが日本語で歌われることで日本の隅々に浸透していったように、音楽としてのフラメンコを日本に根付かせるきっかけとして、日本語で歌うフラメンコもありだと思います。フラメンコ曲の中でもカンシオンにちかい、セビジャーナスや、リズムに乗せてカンシオンを歌うことが多いルンバ/タンゴやブレリアはまだ可能性が高い方かも、という思いはこのアルバムを聴いてより強くなりました。
なおビデオもいくつかYouTubeにアップされていますし、楽曲を聴くこともできますが、spotify Apple Music, Amazon Music などでも配信中とのことです。












