【スペイン・フラメンコ復興ニュース】ヘレスのフェスティバル

5月6日から22日まで、第25回ヘレスのフェスティバルが無事開催されました。

スペインでは昨年初夏より公演活動が再開され、グラナダの国際音楽舞踊祭、セビージャのビエナルなど、大規模フェスティバルも、定員の半分しか観客を入れないなどの感染対策を取りつつ開催されていました。が、その後の感染拡大のため、通常2月末から3月にかけて開催されていたヘレスのフェスティバルは5月の開催へと時期が変更されたのです。

ヘレスのフェスティバルは、世界で唯一のフラメンコ舞踊とスペイン舞踊に特化したフェスティバルです。舞踊公演だけでなく、カンテやギターのリサイタルも行われますが、あくまでもメインは舞踊。期間中には第一線で活躍する踊り手たちによるクラスレッスンも行われ、世界中からフラメンコ舞踊を愛する人たちが集まってくる、フラメンコ界の一大イベントです。

とはいえ、今年の開催には多くの困難が伴いました。スペインの非常事態宣言が解除され、国内の移動が自由になったのはフェスティバルが始まった直後だったということや、また日本など欧州以外の国からのビザなし入国が禁止されていたこともあり(現在は日本、英国については解除されました)、このフェスティバルを支えている外国からのフラメンコ・ファンたちがやって来られない、というのが一番の問題でしたが、他にも、劇場も定員以下しか入れられない、通常使用できる会場が使用できない、などもありました。それらを越えて、入場の際の体温チェック、プログラムは紙でなくQRコードでネットから、ペーニャも予約制など昨年より厳しい感染対策をとって、開催されたのです。

ビジャマルタ劇場/青い紙のある座席は着席不可

例年に比べ、クラスの数も公演の数も減少。クラスに出席した生徒の数も非常に少なく、1クラス4人〜10人程度だったそうです。スペイン国内、そして感染が抑えられ始めた欧州各国、フランス、イタリア、ドイツなどからもやってきた生徒たちは幸運だったと思います。

公演も、この1年あまり、思うように公演できなかったアーティストたちの舞台は例年にも増して見応えがありました。

新作初演したエバ・ジェルバブエナやホアキン・グリロ、エドゥアルド・ゲレーロ、

エバ・ジェルバブエナはコンテンポラリーのダンサーと共演©Javier Fergo-Festival de Jerez

ビエナルで好評だった舞台をさらにパワーアップしたダビ・コリア&ダビ・ラゴス、ロシオ・モリーナ、ヘスス、カルモナ

歌のないギターだけでの、見事なフラメンコを見せたロシオ・モリーナ©Javier Fergo-Festival de Jerez

名作『メデア』を再演したアントニオ・マルケス、一人舞台を見せたマリア・パヘスら

アントニオ・マルケス舞踊団『メデア』は観客賞受賞©Javier Fergo-Festival de Jerez

また、ホセ・マヌエル・アルバレス、フロレンシア・オス、モニカ・イグレシアスら若手の舞台

フラメンコ/コンテンポラリーな歌作を披露したフロレンシア・オス©Javier Fergo-Festival de Jerez

など、いずれも充実した舞台をみせてくれました。

少しずつ、でも確実に、フラメンコは私たちのそばに帰ってきはじめています。来年は2月19日から3月5日までとのこと。日本の皆さんもスペインでの参加ができますように。

なお、アンドレス・ペーニャやモニカ・イグレシアスなどのいくつかの作品はフラメンコの有料動画サイト、オールフラメンコで48時間レンタル4.99ユーロ(4kだと5.99ユーロ)で試聴可能です。

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