現在のフラメンコに対する意識調査 ~ フラメンコ経験者から勇気の出るコメントを多数いただきました。ライブでは踊り手の集客問題、同じ顔触れのお客様という状況、裾野を広げるために新しいフラメンコの形考えるべき。

【当アンケートについて】
◼️目的:本調査(アンケート)は、フラメンコを「現役で習っている人」、「過去に習っていた人」、「愛好家」から、現在のフラメンコに対する課題、問題点や、良くするためのアイデア、ご意見を集計・分析し、フラメンコ運営者や、関連産業の皆様に参考にしていただくことを目的としています。

◼️調査期間:2020年5月7日~2020年6月30日

◼️調査方法:未来を創るアイデア広場のWebサイトのアンケートフォーム(ネットライブに関するアンケートの内の設問)にて回答を募集(https://jpflamenco.wixsite.com/miraihiroba/publications

◼️有効回答数:80件

【アンケートの要約】

・今回はネットライブに関するアンケートの内に設けた、フラメンコに関する記述式設問にて、「80名(性別内訳:女性90%、男性10%)」の方から回答を頂、ました。
80名のうち、フラメンコ経験者(現役、OG/OB含め)は76名で、そのうち10年以上の経験者は59名でした。
また、回答者80名のうち77名から年に数回以上フラメンコライブを見に行っているという回答を頂きました。
(1.回答者属性より)

・フラメンコをやってきて良かったと思える設問からは、「向き合える」「異文化」「支え」「出会える」というキーワードが多くありました。(2.フラメンコをやっていて良かったと思う点について(記述式回答)より)

・この「やってきて良かったと思える」設問は、ポジティブな設問ということもありますが、皆様を勇気づけるコメントが多くありました!項番2-4をぜひ読んでください。(2-4.フラメンコ関係者の皆様を勇気づけるコメント多数より)

・日本のフラメンコに対しての課題・問題点については、踊手の集客問題、排他的、閉鎖的というキーワードが多く、フラメンコの外側からファンを獲得する努力が必要という意見がありました。踊り手のライブでの集客による疲弊、お客様もいつも同じ顔触れで拡張性を感じないという意見がありました。(3.日本のフラメンコに対しての課題・問題点について(記述式回答)より)

・フラメンコ関連産業(タブラオ経営、衣装・ギターなどの販売、スタジオ運営、出版など)に対する、課題や問題点についての設問でも、踊り手の集客問題が散見し、タブラオの問題についての意見が多くありました。他には衣装が高額だという意見、また、月刊パセオフラメンコの関係者からは、「フラメンコの紙メディアはすでに役割を終えたか?」「この先もフラメンコに紙メディアが必要とされるなら、その主たる役割・存在理由は何か?」についてご意見が欲しいというメッセージもありました。(4.フラメンコ関連産業(タブラオ経営、衣装・ギターなどの販売、スタジオ運営、出版など)に対する、課題や問題点について(記述式回答)より)

・要約の最後に、日本のフラメンコを良くしていくためのアイデアについてでは、多くの前向きなご意見を頂きました。
裾野を広げるために、フラメンコを知らないと分からないでなく、知らない人でも楽しめるライブをもっとやってはどうか?というご意見。日本語フラメンコやもっと簡単な振り付けの開発をし広めるご意見。第三者の新しい発想をとりこんではどうか?というご意見。世代や派閥を超えた大らかな連携が必要だというご意見。など多くのアイデアを頂きました。(5.日本のフラメンコを良くしていくためのアイデアについて(記述式回答)より)

 

【アンケート目次】
1.回答者属性
 1-1.性別・年代
 1-2.お住まいの地域
 1-3.フラメンコの経験について
 1-4.フラメンコの公演・ライブを見に行く頻度について

2.フラメンコをやっていて良かったと思う点について(記述式回答)
 2-1.ワードクラウドによる分析
 2-2.単語頻出度
 2-3.共起キーワード
 2-4.フラメンコ関係者の皆様を勇気づけるコメント多数

3.日本のフラメンコに対しての課題・問題点について(記述式回答)
 3-1.ワードクラウドによる分析
 3-2.コメント抜粋

4.フラメンコ関連産業(タブラオ経営、衣装・ギターなどの販売、スタジオ運営、出版など)に対する、課題や問題点について(記述式回答)
 4-1.ワードクラウドによる分析
 4-2.コメント抜粋

5.日本のフラメンコを良くしていくためのアイデアについて(記述式回答)
 5-1.ワードクラウドによる分析
 5-2.コメント抜粋

 

【アンケート結果】

1.回答者属性

1-1.性別・年代

1-2.お住まいの地域

1-3.フラメンコの経験について

1-4.フラメンコの公演・ライブを見に行く頻度について

 

2.フラメンコをやっていて良かったと思う点について(記述式回答)

2-1.ワードクラウドによる分析
(スコアが高い単語を複数選び出し、その値に応じた大きさで図示しています。 単語の色は品詞の種類で異なっており、青色が名詞、赤色が動詞、緑色が形容詞、灰色が感動詞を表しています。※「スコア」の大きさは、 与えられた文書の中でその単語がどれだけ特徴的であるかを表しています。 通常はその単語の出現回数が多いほどスコアが高くなりますが、 「言う」や「思う」など、どの文書にもよく現れる単語についてはスコアが低めになります。)

「フラメンコ」というキーワードを除くと、「向き合える」「出会える」「異文化」「生きやすい(生きる)」「介護予防(ボケ防止)」というキーワードが目立つ。

2-2.単語頻出度
(文章中に出現する単語の頻出度を表にしています。)

スコアの高いキーワードとしては、「向き合える」「異文化」「支え」「出会える」「習う」の順

 

2-3.共起キーワード
(文章中に出現する単語の出現パターンが似たものを線で結んだ図です。)

「生きる‐支え」「夢中‐なれる」「異文化‐触れる」「教室‐皆さん‐繋がり」「刺激‐受ける」「ストレス‐発散」とキーワードの繋がりがありました。

 

2-4.フラメンコ関係者の皆様を勇気づけるコメント多数
・フラメンコを通して、アートに対して真摯な想いを持つ素晴らしい方とつながれる。
・色んな人と繋がれました。
・フラメンコの魅力を習ってみて感じられたことずっと夢中になれるものがあって幸せと思う生きる活力いつの間にか生き甲斐になってました。そうやっていきてきた。
・視点、視野の開拓。仲間づくり。介護予防
・仕事とは違う世界が広がっていて、気分転換になるし、相乗効果もある気がする。
・夢中になれるものに出会えて良かった異文化に触れていること、刺激を受ける脳内アドレナリンが出ると色んな事がリセットされる。
・毎日何かやることがあって充実しています。
・生きる力になっいる
・自己満足ですが、自分なりに振りを覚えて自己表現できる
・フラメンコ そのものがカッコイイ!そして案外気軽なお値段で習う事ができる。発表会の他にボランティア等発表の場も多くて、更にどこに行っても本当に喜んでもらえる。
・他の舞踊やカルチャーも経験しましたがフラメンコ の特質か「先生が熱い!」それからお教室の皆さんも気さくであっさりしてルけど助け合う、この繋がりも宝です。
・心の支えになる 自信に繋がる
・自分と向き合える
・日常と別な時間を味わえる
・お稽古ごとで初めてまずは人とに出会いが良かった。そして最近ようやく表現することの楽しさがわかってきました。
・新しい世界が広がった
・底無し沼のようで、終わりが無くて楽しい。
・人との関わり
・舞台という非日常の味わい
・素晴らしいカンテの世界を知ることができた
・体力、仲間、フラメンコの知識、ストレス軽減、楽しみ、喜び
・色々な人と出会える
・スペイン人の友達が出来た。
・どんな時も生き方がブレない精神的な支えと一生の目標を持てたこと
・自由な自己表現ができる ストレス発散
・普通では味わえない幸せを感じれる瞬間がある
・自分が自分でいられる
・さまざまな職種の人と出会える
・自分の感情と向き合える。体が動くようになってくる。記憶すること、理解することで必死になれる。魅力的な人たちがたくさんいる。
・素敵な先生、同じ趣味の仲間との出会いがある
・リズムも躍りも難しく脳トレーニング
・音楽の喜びを模索、表現する方法を得た
・学ぶことが多く、一生かけても足りないと、歳を重ねることへの恐れがなくなった
・フラメンコ仲間と話が尽きない
・兎に角、音楽も踊りも、観るのも楽しい。”
・楽しい。負の感情も表現出来る
・人生の悲しみも表現の足しになる
・自分の世界を広げられることと、そこで出会える方々から刺激を受けられる
・「楽しい!」と思える時間が増えたこと。たくさんの友だち、尊敬する師に出会えたこと。スペインで生活できたこと。
・そもそも音楽も踊りもカッコいい!観る側として体験するだけでなく、習えば自分でも踊れる様になる。(出来は雲泥だけど^_^)その際に「子供の時からやってなくても大丈夫」という始める時のハードルの低さがあると思う。子供の頃から日本舞踊を習っていましたが、雰囲気が前向きで明るくフランクさ?に超絶違いがあって楽しいです。それは先生や教室の仲間だけでなく、見聞きするプロの方々皆さんにも感じます。
いくらでも学ぶことがあること。
・コロナ渦の中でも、フラメンコが側にいてくれたから家で工夫して過ごせた
・異文化に触れらること。いろいろな人に出会えたこと
・踊ることで、心を解放してきたようです。助けられてきました。
・自分の身体が音楽になる所
・踊る事の楽しさと、落ち込んでも立ち上がれる強さを身に付けれました。
・自分自身と向き合える
・人との出逢い、日常で熱中できるものがある
・生きる支え 踊る間は無になれること
・仕事、会社関係とは全く別のつながりが持てる。フラメンコそのものの世界の奥が深いので、学ぶことが尽きない。

 

3.日本のフラメンコに対しての課題・問題点について(記述式回答)

3-1.ワードクラウドによる分析
「フラメンコ」というキーワードを除くと、「踊り手」「集客」「触れにくい」「内輪」「閉鎖」「変えにくい」というキーワードが目立つ。

3‐2.コメント抜粋
・いつも客席がおなじ顔ぶれになってしまう。関係者以外に興味を持って貰えたらいいなと思う。
・関係者のあいだだけで業界が回っていて、その外側にあるマーケットに意識が向いていないことにより、業界の規模縮小が懸念されること。
・踊り手の負担が多すぎます!(特に集客。これは大きな課題だと思います。もちろんある程度はやむを得ないですが、「お店自体が良い、また来たい」と思ってもらえる企業努力も必要だと思います)
・全ての公演ライブに於いて踊り手だけが集客をしなくてはならないのも変な風習かと。リハーサルも全て踊り手の出費。これが続くうちは踊り手だけがジリ貧のままです。
・多くのアーティストに、客を楽しませようとするホスピタリティが無さすぎる。他ジャンルのライブパフォーマンスと比べても低い。
・お金をかけなくても、最初の頃は特にできるやり方があっても良いと思う。

 

4.フラメンコ関連産業(タブラオ経営、衣装・ギターなどの販売、スタジオ運営、出版など)に対する、課題や問題点について(記述式回答)

4-1.ワードクラウドによる分析
「フラメンコ」というキーワードを除くと、「タブラオ」「踊り手」「集客」「メディア」というキーワードが目立つ。

4‐2.コメント抜粋
・踊り手の集客に頼り過ぎているタブラオショーの問題は深刻だと思います。例え明確なノルマが無くても、集客が少ないと申し訳無さで肩身が狭い。タブラオにとっては踊り手に全て集客させた方がもちろん楽だし、ホスピタリティの低いアーティストの舞台でも、内輪の客なら文句は言わない。が、まずは飲食店としてライブ無しでも料理で客が来る店になるべき。その上でライブをやれば、フラメンコ関係者だけでなく一般のお客様にも見てもらえる機会ができる。
・タブラオの集客にギターやカンテももう少し協力して欲しい
・結論としては、商業ベースでお金が業界内に回っていかないと、永続的な発展はないと思います。業界外の人にいかにお金を払ってライブを観にきてもらいファンを増やすかをフラメンコ関係者の方には是非考えて頂きたいです。
・衣装、生地のせいもあるが高い
・貸しスタジオについては、衛生面(特にエアコン。これが原因で体調壊す人、本当に多いです。特にコロナ禍なので心配です)には徹底して気を配っていただきたいです。
・衣装や靴など、きれいな中古だけど自分ではもう使わない物を必要な人はまわる仕組みがほしい。
・フラメンコの世界をメディアでももっと扱ってほしいです。芸術として、フラメンコを扱う番組や、カルチャーとして紹介する機会がたくさんあってほしいです。
・月刊の紙メディア(パセオフラメンコ)を36年間出版しています。2021年には電子出版への移行も検討中です。「フラメンコの紙メディアはすでに役割を終えたか?」「この先もフラメンコに紙メディアが必要とされるなら、その主たる役割・存在理由は何か?」。以上2点について、できるだけ多くのアフィシオナード諸氏の意見を拝聴したいです。

 

5.日本のフラメンコを良くしていくためのアイデアについて(記述式回答)

5-1.ワードクラウドによる分析
「フラメンコ」というキーワードを除くと、「アルティスタ・踊り手」「セビジャーナス」「始めやすい」「触れやすい」「広げる」というキーワードが目立つ。

5‐2.コメント抜粋
・「ほんとのフラメンコはこういうもの」という「本物志向」にとらわれすぎている(本物を目指す姿勢はもちろん大事ですが)。それとは別の問題で、一般に受け入れられるようなライブもやるべき。
・初心者の方も楽しく参加できる仕掛けがもっと普及したらよいと思います。日本語フラメンコ、誰でも簡単に踊れる振り、そういったものを楽しめる企画。
・日本語のうた、日本人の思う詞に騒ぎ放題口笛手拍子okの何か曲ができんもんでしょうか?
・恋フラ、リモートセビジャーナス、セビジャーナスつなぎ等プロアマ問わず大金もかからず、気軽に参加できる催しが増えて欲しい。
・底辺を広げるために、初心者(フラメンコをやっていない人)でもわかる入門書の発行。
・生のフラメンコをちゃんと説明付きで経験させてほしい。
・ハレオや拍手をもっと気軽に掛けられないでしょうか?
・曲の紹介ももっとわかりやすく。
・セビジャーナスつなぎみたいな企画は、とてもとてもよいと思います。アルティスタを身近に感じます。
・踊りだと、習ったことがない人にはフラメンコは難しすぎる、重たすぎる、という印象になっているようです。もちろんその人生の重さだったりも表現できるのがフラメンコ の良いところですが、間口を広げるために、フラメンコ って楽しい!と印象づける明るめの曲、聞いたことある曲とのフュージョン、ルンバでみんなで踊ってみる、など。。層を厚くするために、「フラメンコらしい」 とはかけ離れたことをやる人たちを受け入れる。そういった人たちに橋渡し役をやってもらうのも良いと思います。
・このサイトのように、さまざまな、第三者の新しい発想があるといい。ある意味30年くらい固まっている。同時に、アーティストはそういうことで揺れない強さが必要でしょうけれど。
・世代や派閥を超えた大らかな連携が必要です。このサイトにその役割を期待しています。

フラメンコに関する意識調査結果は、以上となります。

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