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最後の二度とない瞬間を支えて~照明家 : 佐々木孝尚 Capítulo 4
エルフラメンコからガルロチまで長きにわたり照明・
今回が連載4回目、最終話となります。
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エルフラメンコ閉店から1年後、バモスの村松夫妻が店を引き継ぎ2018年「ガルロチ」としてオープンしました。私もエルフラメンコ同様、照明音響舞台の嘱託をする事になりました。
ガルロチで最も印象的だったのはイスラエル・ガルバンでした。
以前にスペインに行ったときビエナルで舞台を見たとき「なんて斬新なアイデアを持っているんだろう」と感嘆しました。スペインは天才が出る国です。

2019年ガルロチ。イスラエル・ガルバン。まさに天才でした。周囲を変える力とはどういうものかと学んだ気がします。
そのイスラエルがガルロチに出演する際、イスラエル側から事前に音響について細かく要望がありました。普段フラメンコの舞台では使わないサブウーファーの要望までありました。
それで音響機材を一新する事になり、最新のデジタルミキサーとワイヤレスシステムを導入しました。導入にあたっては元フリーウエイの遠入佳奈さんに協力してもらいました。

これ以降ガルロチの音響は飛躍的に良くなったのです。
イスラエルのすごいところは単なるアイデアではなく周囲を切り開いていく力だと思います。イスラエルによってアーティスト側にも観客側にも良い結果が生まれていくのです。
ショーはとても斬新なものでした。
ステージに様々な小道具、例えば音のするメタルのようなもの等を置き、イスラエル側から要望があった火山岩(踏むとつぶれて砂のようになっていく)を用意。毎日この火山岩の撤収が大変でしたが、歌い手とイスラエルだけの即興のステージは前衛アートのようでした。脚マイクもイスラエルが8本ほど持参して来ました。
照明の要望はたった2つ。
“終始明るく(客席も)して欲しい。僕が(イスラエルが)サインを出したら完全暗転にして欲しい。”
これだけです。
私もある程度自信があるので「色々出来るよ」と言っても「ノー」です。
いつサインを出すのか聞いたら「わからない。とにかくサインを出した時だ」というだけ。

おかげで当時オペレートをしていたギタリストの犀川君と私はショーの間、一瞬もイスラエルから目を離す事が出来なくなったのです。
バモスさんのガルロチ時代も30以上のグループが来日し、毎日様々な事がありました。
スペイン人のショーをするのは精神的にもとてもきつい事も多いです。
でもいつからかあの場所にいる何者かに「この場所はお前が守るんだよ」と言われているような気がして心をこめて仕事をして来ました。

そのガルロチもコロナ禍の影響もあり2020年閉店。
2021年からはファミリーアーツの経営となり再復活しました。以降のガルロチはフラメンコだけではない様々なジャンルを上演する場となり、私も色々と携わらせていただきました。フラメンコに関してはエルフラメンコ時代からの現フラメンコプロデュ―サー中西ゆかりさんと歩調を合わせてやってきました。
ファミリーアーツさんが母体となってからはバモスさんの招聘するアーティストはスペインの中でもトップクラスのアーティストとなり、そのオペレートをする事は信じられない体験となりました。

21歳の時にフラメンコと照明の世界に入り44年、人生の3分の2を費やした事になります。世界で一番フラメンコの照明をしている照明家かもしれません。

ガルロチは2025年12月29日完全閉店。
最終日の後、朝までかかって機材をすべて撤収。ひとつひとつの機材に感謝して時代が終わりました。

ガルロチは終了しましたが照明家としてこれからも良い照明を作り続けていきたいと思っています。

携わった全てのスペイン人や日本人のアーティスト、関係者に心から感謝しています。

佐々木孝尚
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