【復興ニュース/レポート編】緊急事態宣言解除後の営業状況は? 気になっていた2つのタブラオに行ってみた

5月25日、新型コロナウイルス拡大防止のための緊急事態宣言が日本全国で解除されました。

Facebookなどを見ていると、慎重ながらもクラス再開のお知らせなどが掲示されていて、徐々にフラメンコ界にも復興の兆しが見えてきました。

まだまだ安心はできず、第二波、第三波への懸念はありますが、今まで自粛してきたぶん「親しい人に会いたい」「好きな場所に行きたい」との思いが強くなるのは当然と言えるでしょう。

もちろん筆者もその1人。今回は、今までもこれからもお世話になるタブラオの営業状況を、実際に来店してレポートします。


神保町オーレオーレはレストランとして元気に営業中。しかしライブは「まだ様子見」

お店の入り口。「テイクアウト」の立て看板が見えます。

お天気も良好な5月30日。筆者が最初に訪れたのは、学生街でありオフィス街でもある神保町のスペインレストラン「オーレオーレ」。オーガニック素材を活かしたヘルシーで美味しい料理が売り物で、フラメンコのライブは毎週火曜日に開催していました。

現在ライブはお休みしていますが、自粛ムードが解けない今でも、美味しい料理を求めてお客さんが訪れます。僕が来店したときは二組のお客がいて、さらに食事中にもう一組お客さんがやってきました。

相変わらずおちゃめな店長。左の奥には、食事に訪れたお客さんの姿も見えます。

「オーレオーレ」はコロナ禍の中でも、お料理のテイクアウトなどの工夫を取り入れて地道に営業を続けてきました。お店に出演していた踊り手さんがテイクアウトしたお料理をSNSにアップしたりして、皆に愛されているお店であることがよくわかります。

このお店のライブ開催状況を店長さんに直接聞いたところ、ズバリ「まだ様子見」との答えが返ってきました。

ネックはやはり「お客が呼べる状況ではない」ということ。出演する踊り手さんはお知り合いやご家族を呼ぶのが普通ですが、ご高齢のご両親などはさすがに呼べないし、来てくれない、というのです。

また万が一にも、クラスターを発生させるわけにはいきません。そうなればお店の存続が危うくなるでしょう。

緊急事態宣言が解除されても、多くの人が集まるライブを普通に開催するには、まだまだ時間がかかりそうです。

この日注文したのは、「スパイシーな地鶏もも肉と春野菜の鉄板焼き~プランチャ~」。ジューシーなお肉とシャキシャキの野菜の組み合わせが絶品でした。


5月30日から営業再開した西日暮里アルハムブラは本格的にライブ配信に着手!

神保町の次に訪れたのは、この日5月30日から営業を再開した西日暮里アルハムブラ。緊急事態宣言中は完全に休業していたので、再開後のお店がどうなっているのか、気になっている方も多いのではないしょうか。

ご安心あれ、駅を降りて少し歩くと、お店の看板が赤々と灯っておりました。

しかし…隣接する姉妹店、スペインバルのエル・フエゴは営業していましたが、ライブを行なうアルハムブラ自体は休業中。お話を聞くと、「ライブがある時だけアルハムブラを開ける」とのことでした。

アルハムブラは開いていなかったので、エル・フエゴにて一杯。店員さんはマスク着用です。後ろにはやはり、お食事に訪れたお客さんの姿が。

Facebookの公式アカウントで告知済みですが、アルハムブラは東京都緊急事態宣言措置・感染拡大防止協力金相談センターに「ライブ開催が可能」とのお墨付きをもらっています。入店数は通常の50%となる55人まで、換気や店員のマスク着用など、今までとは異なる環境での開催となりますが、それでもライブ開催が可能というのは非常に心強いです。6月のライブはほぼキャンセルとのことですが、2つだけ開催予定となっているそうです。


アルハムブラで注目したいのは、ライブ配信を本格的に始めるべく、休業中に着々と準備を行ってきたことです。社長の立花さんにお話を伺ったところ、「何かやらなきゃ生き残れない」という強い危機感があったそうです。

プロのカメラマンのファミリー会社と協力し、複数のカメラを舞台に向けて設置。視点の移動、ズームはもちろん、カメラのスイッチングも可能で、より本格的なライブ映像を目指しているそうです。

アルハムブラにて、カメラ設置予定の場所を指す立花さん。お客さんの頭が入らないようにするなど、本格的なライブ映像の実現を目指しています。

現段階ではテスト中ですが、コロナの終息が見えない今、無観客ライブも行なっていく予定です。通常のライブでも、地方から来ている踊り手がさんが地元の生徒やご家族にライブを見せたり、共演のスペイン人出演者を通じてライブをスペインに広めたり、さまざまなライブを西日暮里・アルハムブラから世界に発信したい、とのことでした。

多くの人が観ることを想定しているだけに、クオリティも重要となります。ライブ映像として耐えうる音と映像を提供するのはもちろん、出演者も高い技術を持った方に特に出演してほしいそうです。

配信の可否は出演者が決められ、視聴料が入ればもちろん出演者へのバックがあります。映像が世界に広まり、観客席数が現状の50%であっても収入の上乗せが期待できる。出演者にとってもプラスになるライブ配信が実現しそうです。最初の配信は6月末を予定しているとのことなので、要注目です!


オーレオーレにしても、アルハムブラにしても、お店にできる努力をすべてやり、通常営業、通常ライブの開催を目指しています。おそらく日本中のタブラオやレストランが今、復興に向けて動き出していることでしょう。

もし、好きなお店があるなら。
もし、お世話になったお店があるなら。

今こそ足を運んでください。それが、お店にとって何よりの支えとなり、復興への速度も加速するはずです。

文・写真=堀慎二郎

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